2012年3月4日日曜日

[読了]シェア

Rachel BotsmanとRoo Rogersのシェアを読みました.

Rachel Botsman, Roo Rogers, 小林 弘人(監), 関 美和(訳): シェア, NHK出版, 2010-12

本書の概要と感想をメモしておきます.

現代社会は,ハイパー消費一辺倒の状況からコラボ消費の比重が増す方向へ移行している.ハイパー消費とは,際限なく多くのリソースを消費することである.一方,コラボ消費とは,リソースをシェアして有効に活用することである.コラボ消費は,リソースを社会に優しい形で利用するだけでなく,個人の帰属や自己実現の欲求も満たす.そして,それらは社会の持続性や弱体化した社会資本の問題の解消に繋がる.コラボ消費が現代社会において受け入れられているのは,このためである.コラボ消費は,古来から連綿と続くものであって,現代特有のものではない.ただ,現代のコラボ消費の特徴は,同じ志向を持つ人々からなるコミュニティの形成や,効率的にシェアするためのシステムが,インターネットに代表されるテクノロジーによって実現されていることである.

本書の概要をまとめている絶妙のタイミングで,NHKが「ヒューマン なぜ人間になれたのか」という番組を放送していた.この番組によると,人類が人間になれたのは,シェアするという行為を獲得したからだそうだ.だから,今私たちが直面している状況は,一度は疎遠にしてしまったけれど,その価値に気付いて再び歩み寄っているといったところなのだと思う.ただ,その歩み寄り方は,以前のものとは異なっているようだ.寄り添う相手,価値を共有する相手は,物理的に近い人々だけではなないということである.オンライン上の人々も含まれているのである.このことが,現代社会で行われているシェアの大きな特徴だと思う.

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