2010年6月26日土曜日

ユーザのブラウジングから学習漢字を選定する漢字学習環境の構築

eラーニングに関する論文[1]を読んだので,メモしておきます.

本論文では,電子リソース内に出現する漢字のうち,教材を使って学習する必要のある漢字を選定する手法を提案している.本手法では,過去に閲覧した電子リソースに共通して出現したり,高頻度に出現したりする漢字,あるいは,複数の読みを持つ漢字が重要漢字として選択される.本手法を実装したシステムは,重要漢字にはルビを付与せず,それ以外の漢字にルビを付与する.これは,重要漢字に対して,辞書ツール,関連語ツール,テストツールなどの教材の利用というユーザからのインタラクションを促すためである.

注目フレーズ
  • 中上級の学習者は,実生活で必要となる本等を自分にあった形で教材にして欲しいという要望を抱く.
  • 中上級の学習者は,無限大の学習対象から覚えるべきものを選択し記憶することに困難を感じている.
  • 留学生のような日本語を学習する時間が少ない学習者は,スキップ・アンド・ジャンプ方式(できるだけ実際問題の解決に役立つ漢字に意識的に注意を払う方法)で漢字を学ぶ傾向がある.
  • 学習者は,ニーズが存在していても,それを発見することや自分の学習に反映することを困難とする.
  • 非漢字圏の学習者は,漢字や漢語の理解がネックとなる.
  • 学習は,学習者が単に学習環境と無自覚にかかわるだけでは成立せず,学習環境に対して意識的なインタラクションを起こすことで成立する.
  • 「多くの非漢字圏の学習者が,漢字は読めればよいととらえている」と報告している調査がある.
  • 自由学習環境には,高原状態(学習教材に新たな知識が登場しないので,それを使って学習を進めても,知識が増加しない状況)が発生する場合がある.
  • 学習者に段階的に漢字を提示する方法として一部の漢字をかなで表記するよりも,ルビを付与するほうがよい(武部).

[1] 越智 洋司, 矢野 米雄, 脇田 里子, 林 敏浩: ユーザのブラウジングから学習漢字を選定する漢字学習環境の構築, 情報処理学会論文誌, Vol. 40, No. 2, pp. 433-442, 1999-02

2010年6月23日水曜日

eラーニング技術標準化と学習教授活動のデザイン

eラーニングに関する論文[1]を読んだので,概要とキーワードをメモしておきます.

ICT産業で起きたモジュール化,標準化,オープン化といった流れが,eラーニング分野でも生じている.本論文は,ICT産業での事例と照らし合わしながら,eラーニング分野で生じているモジュール化,標準化,オープン化の流れを説明している.


[1] 仲林 清: eラーニング技術標準化と学習教授活動のデザイン―オープンな教育エコシステムの構築を目指して―, 人工知能学会誌, Vol. 25, No. 2, pp. 250-258, 2010-03