2012年7月16日月曜日

[読了]友達の数は何人?

Robin Dunbarの『友達の数は何人?』を読みました.

ロビン ダンバー: 友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学, インターシフト, 2011-07

本書の感想をメモしておきます.

本書は,生物の進化に関する様々な知見を交えながら,私達人類が備えている特徴を数多く紹介している.例えば,女性の中には男性よりもカラフルな視覚を持つ人がいるとか,言葉を発達させたのは,狩りをする男性ではなくて,実は留守を守る女性であった可能性があるとかだ.中でも,一番興味深い特徴は,本書のタイトルにもなっている「友達の数は何人?」の解答である.その解答とは,150.この数は,ダンバー数と呼ばれるもので,脳の容量と集団サイズに関する研究成果から予測された数だそうである.

ダンバー数と一致するかどうかは別として,そのような数があることは間違いない気がする.最近,ソーシャルグラフ(人の繋がり)を核に置いたサービスが活況を呈しており,自分もそのユーザの一人である.自分では知り得ない情報を入手できるので,調子に乗ってリンク(他人から自分へ向かうリンク)を増やし過ぎたことがあったが,その時はそこから流れてくる情報を消化するだけで一日を費やしてしまうことがあった.的を得た例ではないと思うが,とにかくリンクを増やしすぎると,本来の活動に支障をきたすことになるのは間違いない.キュレーションという言葉もよく目にするようになったが,これはダンパー数を超えた繋がりを持った人が増えてきたためではないだろうか,つまり,情報の消化不良に陥った人が,手持ちのリンクのいくつかを良質な情報をもたらすリンクに置き換える必要が生じたためではないかと考えている.