2010年7月30日金曜日

小学校情報教育における児童のWebブラウジングの特徴分析

eラーニングに関する文献[1]を読んだので,メモしておきます.

本論文では,小学生のWebブラウジングの特徴を参与観察により調査している.その結果,小学生にとってWebブラウジングの概念と操作は習得しやすい,ブラウザの戻る選択の使用頻度が高い,Webページの注視時間は高学年になるほど長くなるという特徴が観測された.

注目フレーズ
  • Web探索は,調べ学習等で盛んに行われている.
  • 一般の利用者と同様に,児童においてもWeb探索は困難なものとなっている.
  • 目的の情報に到達できないといった内容の質問が教師には多く寄せられている.
  • Web探索が盛んになると予想されるので,Web探索に求められる情報活用能力の育成は重要な課題である.
  • Web探索時に必要とされる情報活用能力の構成要素とそれらの関係を明らかにする必要がある.
  • Web探索は,Webブラウジングとキーワード入力検索という大きく2つの方法からなる.
Webブラウジングの容易性
  • Webブラウジングの概念や操作は児童にとって習得しやすいものである.
  • Webブラウジングの指導に教師の情報活用能力は影響しない.
  • Webブラウジングの学習において児童の過去の操作経験はほとんど影響しない.
戻る選択の多用
  • 操作の大半は,ページのリンク選択とブラウザの戻る選択で占められていた.
  • 上位階層へのページ遷移は,ページのリンク選択ではなく,ブラウザの戻る選択で行われた.
  • 数名でWebブラウジングしている場合,操作担当の児童に対して,他の児童が戻る選択を指示する場面が多く観測された.
  • 迷子になった場合,ブラウザの戻る選択を複数行う行動が多く観測された.
  • 低学年の児童が迷子になった場合は,教師による戻る選択の方法に関する助言が有効であった.
  • 低学年の児童は,読めない漢字,難しい表現,量が多いページが表示されると,ブラウザの戻る選択を行う傾向がある.
ページの注視時間
  • 低学年の児童は,1ページの注視時間が非常に短く,1授業時間内でのページ閲覧数が多い.
  • 低学年の児童は,読めいない漢字や難しい文章表現に対する質問が多く寄せられていた.
  • 低学年の児童であっても,文章表現が易しいページや,イラストが多用されているページに関しては画面に見入ることが観測された.
  • 高学年になるほど,情報量の多いページを好むという傾向がある.
  • ページの注視時間には,文章読解能力が影響している.
  • 低学年の児童では頻繁にマウスを移動して,リンクの位置を模索する行動が多くみられた.
  • 低学年の児童では,アドホックにリンク操作を行い,目的のページを探していく様子が見られた.
  • 高学年になるについて,ページの内容から適切なリンク操作を行い,マウス操作を最小限に済ます傾向があった.
  • 低学年の児童は,ページの内容より自分のリンク操作によりページ遷移が起こることに興味を示すようだ.
[1] 菊地 秀文, 赤堀 侃司: 小学校情報教育における児童のWebブラウジングの特徴分析, 日本教育工学会論文誌, Vol. 27, No. 2, pp. 143-153, 2003-09

2010年7月28日水曜日

「音訓の読み方」と「ふりがな表記」に対応した漢字かな自動変換サーバの開発

eラーニングに関する文献[1]を読んだので,メモしておきます.

本論文では,漢字には複数の読みがあるという点に着目した漢字の読み振りシステムを提案している.著者らが開発した従来のシステムでは,漢字の表記を学習する学年とユーザの学年とを比較して,漢字に読みを付与するかどうかを決定するが,本論文で提案されたシステムでは,漢字の読みを学習する学年とユーザの学年とを比較して,漢字に読みを付与するかどうかを決定する.

注目フレーズ
読解支援システムとしての側面から捉えた分類項目
  • システム形態:CGIプロキシ
  • 支援方法:読み振り
  • 利用者語彙力:離散有限値(10段階),申告制(初回・中途),固定
  • 語句難易度:離散有限値(10段階),初期設定,固定

[1] 榎本 聡, 室田 真男, 清水 康敬: 「音訓の読み方」と「ふりがな表記」に対応した漢字かな自動変換サーバの開発, 教育システム情報学会論文誌, Vol. 17, No. 3, pp. 275-284, 2000-12

2010年7月26日月曜日

漢字かな自動変換機能等を備えたインターネット学習システムの開発

eラーニングに関する論文[1]を読んだので,メモしておきます.

本論文では,小・中・高等学校の児童・生徒を対象としてインターネットを利用した学習環境を構築することを目的に,インターネット学習情報提供システムを提案している.本システムには,Web上の学習情報を検索する機能やWebページ内の漢字に読みを付与する機能が備わっている.本システムのログを分析したところ,中学年から高学年までの小学生に多く利用されていること,システムの応答時間も短時間であることが確認された.

注目フレーズ
  • 日本語の場合,漢字表記の問題が存在する.
  • 前後の関係で読み方が変わることもある.
  • 学習途上段階にある子供たちにとっては,内容を理解する以前に読むことができない情報も少なくない.
  • 漢字はそれ自身で意味をもつ.
  • 学年によって学習している漢字の数に違いがある.
  • 漢字が多用されているWWWページが多い.
  • WWWページの制作者が,利用者の漢字習得レベルに応じたページを制作するのは現実的ではない.
  • 公共ホームページgoodsite運動
読解支援システムとしての側面から捉えた分類項目
  • システム形態:CGIプロキシ
  • 支援方法:漢字かな変換
  • 利用者語彙力:離散有限値(10段階),申告制(初回・中途),固定
  • 語句難易度:離散有限値(10段階),初期設定,固定
[1] 榎本 聡, 室田 真男, 清水 康敬: 漢字かな自動変換機能等を備えたインターネット学習システムの開発, 電子情報通信学会論文誌, Vol, J83-D-I, No. 3, pp. 384-394, 2000-03