2013年4月11日木曜日

[読了]モチベーション3.0

Daniel H. Pinkのモチベーション3.0を読みました.

Daniel H. Pink: モチベーション3.0―持続する「やる気!」をいかに引き出すか, 講談社, 2010-07

本書についてのメモを以下に記しておきます.

本書は,現代の仕事において良い成果を残すための秘訣について述べられている.それは行動を引き起こすための心の働きの一つであり,内発的動機づけと呼ばれるものである.

動機づけは,生理的動機づけ,外発的動機づけ,そして,内発的動機づけに大別される.生理的動機づけは生き残るための行動を引き出すものであり,外発的動機づけはアメとムチとして周囲から与えられるものである.そして,内発的動機づけは,活動自体からもたらされる満足感によって自身から沸き起こるものである.

生活水準が一定のラインを超えると,生理的動機づけはなりを潜め,人の行動は外発的動機づけと内発的動機づけの影響を受けるようになる.外発的動機づけは,単純あるいは定形的な仕事に効果を発揮する動機づけであり,その比率が高かった近代社会においては十分機能してきた.一方,内発的動機づけは,クリエイティブな仕事に効果を発揮する動機づけであり,その比率が高まる傾向のある現代社会に適している.

動機づけには,種類によって向き不向きがあり,その性質に応じて使い分ける必要がある.例えば,生活水準がある閾値を越えない状況では,生理的動機づけが支配的になり,外発的動機づけや内発的動機づけは機能しなくなる.また,クリエイティブな仕事に外発的動機づけを行うと,内発的動機づけで行うよりその成果は低下する.

先に記したとおり,現代社会はクリエイティブな仕事の比率が高まっている.したがって,今後は外発的動機づけより,内発的動機づけのほうが有効な手段となる場合が多くなることが予想される.

内発的動機づけは,自律性,熟達,目的を拠り所にしている.自らの意志で行動を決め(自律性),意義のあることに打ち込み(熟達),自分以外の利益に貢献する永続的な指針をもつ(目的)ことにより,内発的動機づけのエネルギーを生み出すことができる.