2010年9月10日金曜日

Webページに関連知識の解説をリンクするWBLシステム

eラーニングに関する論文[1]を読んだので,メモしておきます.

本論文は,Webページを利用した探求学習における知識定着を支援するために,Webページの関連知識を自動的に提示するシステムを提案している.Webページの関連知識は,事前に用意した知識ベースからキーワード検索を使って生成される.そして,学習者の参照行動から推定された3種類の知識状態に基づいて元のWebページとは異なる別のWebページにて学習者に提示される.本システムに対して実験した結果,関連知識の解説へのリンク生成とアウェアネス支援の両方で有効な成果が得られた.

注目フレーズ
  • 探求学習
    • 学習者が自らの興味や目的に基づいて主体的に教材空間を探求しながら知識を獲得していく学習法
  • Webページを利用した探求学習
    • 学習者は主体的にリンクをたどり,ページを読解していくことになる.
    • 学習者は訪問したページを読解するために,関連知識を想起・適用する.
    • 関連知識の解説にアクセスできる場合,学習者はそれを参照・適用する.
    • 様々なページの読解に適用された知識は整理・統合され,短期記憶から長期記憶へ移行していくと考えられる.
    • 探求学習には学習者の主体性を重視するため,テストや質問を強制しない学習者モデルの構築が望ましい.
  • 知識定着
    • 知識の長期記憶化
    • 忘却モデル
  • 知識定着を妨げるWebページ
    • 関連知識の解説へのリンクを完備していないページ
    • 学習者は未習または想起困難な関連知識の解説を即座に参照・適用できない.
    • サーチエンジンの利用でカバー
  • サーチエンジンによる関連知識検索
    • 効率的な検索には,適切なクエリー入力が要求される
    • 学習者によっては目的の検索結果が即座に得られず検索作業を繰り返すことになる
    • 知識定着を妨げるだけでなく,学習意欲を低下させる恐れが生じる.
  • Adaptive Hypermedia
    • 「任意のWebページを利用して探求学習を行いたい」という学習者のニーズに対応しているとはいえない.
    • 支援対象が特定サイト内に限定されるという制約を排除することが重要課題となっている.
  • 人間の知識は事実や命題に関する宣言的知識と,操作手順に関する手続き的知識に分類される.
読解支援システムとしての側面から捉えた分類項目
  • システム形態:CGIプロキシ
  • 支援方法:関連情報提示
  • 利用者能力:知識状態,離散有限値(3段階),事前設定,変動
  • 内容難易度:忘却時間,離散無限値,事前設定,変動
  • 推定方法:忘却モデル
[1] 光原 弘幸, 越智 洋司, 矢野 米雄: Webページに関連知識の解説をリンクするWBLシステム, 電子情報通信学会論文誌, Vol. J86-D-I, No. 1, pp. 29-38, 2003-01

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