2010年8月10日火曜日

文体と難易度を制御可能な日本語機能表現の言い換え

言い換えに関する論文[1]を読んだので,メモしておきます.

本論文では,状況に合わせて日本語表現を幅広く言い換えることを目的に,難易度と文体の制御が可能な日本語機能表現の言い換え手法を提案している.本手法を使えば,ある機能表現から,所与の文体と難易度に該当し,意味的に等価な機能表現すべてを列挙することができる.本手法を実装して行ったオープンテストでは,入力文節の79%に対して,適切な代替表現を生成できる.

注目フレーズ
  • 言い換えとは,ある言語表現を意味が等価な別の言語表現に変換する処理のことである.
  • 日本語表現の言い換えは,内容表現に関する研究がほとんどであり,機能表現に関する研究は著しく少ない.
  • ほとんどすべての文には,1つ以上の機能表現が含まれているので,日本語表現を幅広く言い換えるためには,内容表現だけでなく,機能表現も言い換えることが重要である.
  • 日本語の機能表現が持つ特徴の一つは,形態的異形(常体,敬体,口語体,堅い文体)を持つことである.
  • 提案済みのシステムでは機能表現の文体を制御する機構を持っていない.
  • 文章読解支援では,機能表現を言い換えるとき,言い換え先の機能表現の難易度を制御することが求められる.
  • やさしい機能表現は,複数の意味を持つ傾向があるので,必要以上にやさしく言い換えた場合,生成された言語表現が意味的に曖昧になってしまう恐れがある.
  • 提案済みのシステムは,難易度指定に応じて言い換えを行うことができない.
[1] 松吉 俊, 佐藤 理史: 文体と難易度を制御可能な日本語機能表現の言い換え, 自然言語処理, Vol. 15, No. 2, pp. 75-99, 2008-04

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