本論文では,小学生のWebブラウジングの特徴を参与観察により調査している.その結果,小学生にとってWebブラウジングの概念と操作は習得しやすい,ブラウザの戻る選択の使用頻度が高い,Webページの注視時間は高学年になるほど長くなるという特徴が観測された.
注目フレーズ
- Web探索は,調べ学習等で盛んに行われている.
- 一般の利用者と同様に,児童においてもWeb探索は困難なものとなっている.
- 目的の情報に到達できないといった内容の質問が教師には多く寄せられている.
- Web探索が盛んになると予想されるので,Web探索に求められる情報活用能力の育成は重要な課題である.
- Web探索時に必要とされる情報活用能力の構成要素とそれらの関係を明らかにする必要がある.
- Web探索は,Webブラウジングとキーワード入力検索という大きく2つの方法からなる.
Webブラウジングの容易性
- Webブラウジングの概念や操作は児童にとって習得しやすいものである.
- Webブラウジングの指導に教師の情報活用能力は影響しない.
- Webブラウジングの学習において児童の過去の操作経験はほとんど影響しない.
- 操作の大半は,ページのリンク選択とブラウザの戻る選択で占められていた.
- 上位階層へのページ遷移は,ページのリンク選択ではなく,ブラウザの戻る選択で行われた.
- 数名でWebブラウジングしている場合,操作担当の児童に対して,他の児童が戻る選択を指示する場面が多く観測された.
- 迷子になった場合,ブラウザの戻る選択を複数行う行動が多く観測された.
- 低学年の児童が迷子になった場合は,教師による戻る選択の方法に関する助言が有効であった.
- 低学年の児童は,読めない漢字,難しい表現,量が多いページが表示されると,ブラウザの戻る選択を行う傾向がある.
- 低学年の児童は,1ページの注視時間が非常に短く,1授業時間内でのページ閲覧数が多い.
- 低学年の児童は,読めいない漢字や難しい文章表現に対する質問が多く寄せられていた.
- 低学年の児童であっても,文章表現が易しいページや,イラストが多用されているページに関しては画面に見入ることが観測された.
- 高学年になるほど,情報量の多いページを好むという傾向がある.
- ページの注視時間には,文章読解能力が影響している.
- 低学年の児童では頻繁にマウスを移動して,リンクの位置を模索する行動が多くみられた.
- 低学年の児童では,アドホックにリンク操作を行い,目的のページを探していく様子が見られた.
- 高学年になるについて,ページの内容から適切なリンク操作を行い,マウス操作を最小限に済ます傾向があった.
- 低学年の児童は,ページの内容より自分のリンク操作によりページ遷移が起こることに興味を示すようだ.
2 件のコメント:
私の文献を読んでいただけたとのこと、大変うれしくおもいます。ご質問等、ございましたらご連絡ください。また、関連する他の文献もございますのでご参照いただければ幸いです。 菊地秀文 http://www.kikuteacher.net/
こちらこそ,コメントをいただきありがとうございます.現在,読解支援に興味を持っておりまして,それをテーマにした文献を探しております.また,ご質問させていただくことがあるかもしれませんが,その際はよろしくお願いいたします.
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